ケーススタディのみで、段階的に読ませる事が上手い本に久々に出会った感じ。
何かというと、「近所がうるさい!―騒音トラブルの恐怖」という本を読んでの読後感。
騒音を原因にした事件を次々と、また淡々と紹介していくのだが、その各章で問題提議をする事で「なぜ」このようなトラブルが起きうるのかという事を読者の読ませて理解できるようになっている。現在騒音に関してなんのトラブルを持っていない方も今後のために読んでみるのも、悪くないと思う。
この本のキモは後書きに集約されているように思う。
冷静に分析してみようという気持ちさえ出てくれば、それで問題の半分くらいは解決したと言っても良いのです。本書を、そのきっかけにしてもらえれば、著者にとってこれに優る悦びはありません。
つまり、冷静に分析する事がなにより大事という事である。
面白いのは、事件に巻き込まれていく被害者と加害者の心理を段階的なフローチャートに纏めている部分(p74辺り)。段階としては三つあるらしく「怒り(Anger)」「敵意(Hostility)」「攻撃性(Aggressiveness)」、言葉だけだと日常生活にはあまり関係の無いように思えてしまうが、引き合いに出される例を併せて読むと非常に納得してしまう。誰しもが感じる感情である。
日照権や、公害ではとっさの狂気の事件には発展する例が少なく、なぜ騒音のみがとっさの狂気に走らせるのかの解説は予想も含めて大胆に行っており、どれだけ人が自分の中の心理に陥りやすいかを警告しているようにも読める。
ただ、著者自身も書いているようにこの本はハウツー本(How to)ではない。騒音に関しての防止方法や対処方法等の記述は少ない。しかしそれを差し引いても自分の住んでいる住居というものを省みずにはいられなくなる本である。
著者は「拡散度法による重量床衝撃音計算ソフト」というソフトを開発して公開している。何かというとマンションに住んでいる方用に「床の大きさ」や「部屋の大きさ」などの複数項目を選択すると騒音にどれだけそのマンションが耐えられるかを調べてくれるソフト。簡単に調べるには役に立つのではないだろうか?
ちょっと本の中で紹介されているので、掲載するのはどうかとも思ったのだがWeb単体で参照先は完結しているので大丈夫だろう。
個人的には、タイトルの「近所がうるさい!」というの良くないと思う。センセーショナルなだけで本の意識している物と趣を異にしていると思う。大体、こんなタイトルだと私自身は書店では手に取らないと思う。あと、KKベストセラーズの新書を始めて読んだが、文字が大きくて読みやすいっすね。